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BtoBとかBtoCって?

BtoBとかBtoCって何のこと?


 新聞や雑誌などで、インターネットについて書かれた記事を読んでいると、「BtoB」とか「BtoC」という言葉がよく出てきます。一体どういう意味なんですか。「B2B」や「B2C」というのもあるみたいですが、これは同じ意味ですか。

 BtoBはBusiness to Businessの略です。ここでいうビジネスとは企業を指しています。そのまま訳せば、企業から企業へ。実際には企業同士の取引のことを意味しています。同じようにBtoCはビジネスからコンシューマーへ。つまり企業と消費者との取引です。「B2B」や「B2C」も、toを英語の2にかけた単なる語呂合わせなので意味は変わりません。

 確かに現在、この「BtoB」や「BtoC」という言葉が、インターネット関連の記事にはやたらと出てきます。インターネットの出現と急激な普及がニュースになった時期はとうに過ぎ、人々の関心は今やインターネットという新しい通信ネットワークを使って、誰と誰をどのように結びつけるかという点に移っています。それを考える上で「BtoB」と「BtoC」の性格の違いは、とても大きな要因になるのです。

 書籍やAVソフト、パソコンの販売など、インターネット・ビジネスで最初に台頭したのは一般消費者向けの通信販売、すなわちBtoCでした。相次ぐネット通販ベンチャーの登場は、日々の暮らしに直接、影響することだけに一般の人々にも強い関心を呼びました。しかし、ブームが一段落してみると、ネット通販ベンチャーの大部分が実は全く儲かっていないという意外な事実が明らかになってきました。

 インターネットによる通信販売には、従来の通販のように重たいカタログを大量に印刷して、消費者一人ひとりに配送するという負担がありません。しかも、店舗を運営する必要がないため、インフラの制約を受けずに販売規模を拡大できる。その結果、加速度的に利益が増加する「収穫逓増の法則」が働く。当初はそう考えられていました。そのため、多くの資本がネット通販ベンチャーに集まりました。

 ところが実際に蓋を開けてみるとかなり様子が違いました。いくら店舗や店員は必要ないといっても、実際に商品を消費者に届けることができなければ商売は成立しません。配送自体は専門業者に委託するとしても、注文が入ればそれに合わせて在庫を引き当て、出荷する作業が発生します。

 こうしたバックヤードの問題がネット通販ベンチャーのアキレス腱になりました。バーチャルショップ(仮想店舗)であっても、一定以上に販売規模が膨らめば、受注センターや倉庫などの専用施設も必要になる。それには当然、お金も人手もかかる。当初言われていた無限の成長は結局、“画に描いた餅”に過ぎないということが次第に分かってきたのです。

 こうしてケチのついたBtoCに代わって俄然、注目を集めているのがBtoBです。BtoBで取引される商品は完成品ではなく、素材や部品が中心になります。そのため一般消費者には無縁で派手さや話題性には欠けますが、BtoCとは桁違いの市場性を秘めています。

 通産省とアンダーセン・コンサルティングが行った電子商取引の市場規模調査によると一九九八年時点で日本国内のBtoC取引が年間六五〇億円だったのに対し、BtoBの規模はその約一三三倍、年間八兆六二〇〇億円にも上っています。さらに二〇〇三年には、これが六八兆四〇〇〇億円まで拡大することが予想されています。

 この巨大市場でインターネット・ビジネスを展開すれば、大きな成果が期待できる。そう考えるのも当然でしょう。そのなかでも本命と目されているのが、企業取引の場をネット上で提供する新たなタイプのネットビジネスです。「e−マーケットプレイス」と呼ばれています。 素材や部品を売りたい会社、買いたい会社がe−マーケットプレイスに集まり、コンピュータの画面を睨みながら入札を行います。その結果、成立した取引の仲介料がe−マーケットプレイスを運営する会社の収入になるわけです。生鮮品の卸売市場をネット上に展開したものと考えれば分かりやすいかも知れません。

 競合企業同士が手を結び、共同でe−マーケットプレイスを立ち上げるというパターンも出てきています。この場合、最大の狙いは仲介料ではなく、巨大な購買力によって仕入れ値を下げることにあります。また、いったん仕入れたものの売れ残ってしまった商品、いわゆる滞留在庫を匿名のまま捌いてしまうこともできます。

 インターネット・ビジネスの中心が今後、BtoCからBtoBへシフトしていくのは間違いなさそうです。しかし、それはBtoCの衰退を意味しているのではありません。市場規模自体はBtoBに比べ小さくても、BtoCの成長率には目を見張るものがあります。日本のBtoC電子商取引市場も二〇〇四年には約六兆六〇〇〇億円まで拡大することが予想されています。そのインパクトを無視することはできません。

 一般のメーカーがこれからインターネットをビジネスに活用しようと考えるなら、まずBtoBによって生産コストを抑制した上で、完成した商品をBtoCで効果的に供給する。さらにはBtoCの販売情報を駆使して、無駄のない調達をBtoBで行う。つまりBtoBとBtoCをリンクさせた「BtoBtoC」を検討する必要があるのです。(2000/9執筆)


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