ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2013年11号
ケース
佐川グローバルロジスティクス 3PL 薬事法に準拠した化粧品輸入を支援提携で成分分析含む一貫サービス実現

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

NOVEMBER 2013  46 法改正で製造業許可を取得  佐川グローバルロジスティクス(SGL)は SGホールディングス(HD)グループの3 PL事業会社だ(編集部注:今年一〇月にS GLは、SGHDとハマキョウレックスとの 資本提携によって、ハマキョウの完全子会社 になることが予定されていた。
しかし、九月 に提携の中止が両社間で決まり、引き続きS GHDの3PL部門として活動することにな った)。
 
咤韮硲弔郎G五月、事業再編を実施し ている。
それまで国内外のロジスティクス事 業を一手に担っていた旧・佐川グローバルロ ジスティクスの国内のロジスティクス事業を、 新規に設立した現在のSGLに移管。
旧・佐 川グローバルロジスティクスは社名を「SGH グローバル・ジャパン」に改め、国際フォワー ディング事業会社として再出発した。
 これによりグループのロジスティクス事業は、 「SGL」が国内の3PL事業を、「SGHグ ローバル・ジャパン」が日本発着のフォワーデ ィング・通関業務を、そして昨年六月にシン ガポールに設立した海外事業統括会社の「S Gホールディングス・グローバル」が海外の事 業戦略策定や現地法人への資金提供・管理を 担当するかたちに変わった。
 ただし、SGLが担う国内ロジスティクス 事業の大半は輸出入業務を伴う取引で、会社 分割後もSGHグローバル・ジャパンや海外 法人との連携によるグローバルな一貫物流サ ービスの提供に力を入れている。
 
咤韮未裡械丕婿業は、アパレル、化粧品、 通販の三分野が売り上げの上位を占めてい る。
このうち化粧品では、制度品メーカーや 卸、訪問販売、通信販売など様々な流通チャ ネルの商品を扱ってきた。
近年はオーガニッ ク化粧品やナチュラル化粧品の市場が伸びて いることに着目、主に日本市場への参入を図 る海外ブランドを新たなターゲットに業容拡 大を目指している。
 化粧品は医療品、医療機器、医薬部外品 とともに、薬事法による規制対象品目となっ ている。
二〇〇五年四月に施行された改正薬 事法は、市販後の商品の安全性確保について の責任を明確にするため、製造・販売に関す る事業許可をそれまでの「製造業」と「輸入 販売業」の二区分から、次の三区分に変更し た。
工場で製造を行う「一般製造業」、国内 外で製造された商品の市場への流通と安全性 の確保に最終責任を負う「製造販売業」、お よび商品の包装・法定表示ラベルの貼付・保 管を行う「包装・表示・保管製造業」だ。
 この変更で従来の「輸入販売業」は「製 造販売業」に分類された。
医薬品や医療機 器、化粧品などを輸入する場合は、製造販売 業許可を取得して、薬事法の許可要件を満た す海外の工場(「一般製造業」)に製造を委託 し、日本へ輸入した製品の品質保証や安全管 理に最終責任を負わなければならない。
 化粧品の輸入代行・成分分析の専門業者と業務 提携し、薬事法に準拠して事前の検査や行政への 手続き、国内の流通まで、輸入者を一貫して支援 できる体制を整えた。
製造業許可を持つ主要港の 拠点で、成長分野のオーガニック化粧品などを対 象に高付加価値サービスを狙う。
3PL 佐川グローバルロジスティクス 薬事法に準拠した化粧品輸入を支援 提携で成分分析含む一貫サービス実現 47  NOVEMBER 2013  さらに製品を輸入して国内の倉庫に保管し、 包装やラベリングを行う際にも、倉庫ごとに 「包装・表示・保管製造業」の許可が必要 になる。
輸入品の包装・表示・保管業務は、 改正前には物流事業者が「輸入販売業」から の委託で行うのが一般的だった。
このため法 改正に合わせて物流事業者自身が「包装・表 示・保管製造業」の許可を取得するケースが 相次いだ。
 これによって輸入者は「製造販売業」の許 可だけを取得し、物流業務は「包装・表示・ 保管製造業」許可を持つ物流事業者に委託で きるようになった。
物流事業者にとっては新 たなビジネスチャンスの到来となった。
 輸入化粧品の取り扱い拡大を狙うSGLは 〇九年十一月に東京の「大井SRC(佐川 流通センター)」と愛知の「小牧SRC」の 二カ所で化粧品の包装・表示・保管製造業許 可を取得し、改正薬事法に準拠した新規事業 に参入した。
 これまでに神奈川・兵庫・福岡の計五カ所 でライセンスを取得。
各拠点で輸入通関や包 装・表示・保管業務を受託し、顧客が化粧 品を海外の工場から輸入して国内市場へ出荷 するまでを一貫して支援する爛錺鵐好肇奪 ロジスティクスサービス瓩鯡椹悗靴討た。
“ワンストップ”の実現に壁  だが顧客開拓は思うように進まなかった。
包装・表示・保管製造業のライセンス自体は 法の基準に適合した施設と有資格者(責任技 術者)の条件を満たせば取得できる。
このた め競合が多く、法改正後、四年余りを経過し てからの後発参入だったSGLは苦戦を余儀 なくされた。
 爛錺鵐好肇奪廰瓩亮存修砲眤腓な壁があっ た。
佐川グループのグローバルネットワークと 同社の製造業ライセンスを活用して、海外か ら日本への輸送、通関、包装・表示・保管、 出荷業務を一貫サービスとして提供すること を狙ったが、輸入化粧品を扱う顧客に薬事法 に準拠した一貫支援を行うには、それだけで は不十分だった。
 化粧品の輸入には、他の商品とは異なるハ ードルがある。
まず、先述の製造販売業の許 可が要る。
さらに初めて輸入する製品につい ては輸入前に化粧品の成分分析を行わなけれ ばならない。
 薬事法では化粧品基準によって配合禁止成 分や配合制限成分を設けている。
だが海外の 製品には鉛やホルマリンなどの禁止・制限成 分が含まれるものもある。
またオーガニック 化粧品などの天然由来のものと石油由来のも のとでは配合する成分の比率が異なる。
禁止 成分が使用されていたり、制限成分の配合量 に誤りがないよう事前に厳密な分析が必要に なる。
 輸入元の工場から成分表を取り寄せて現品 のサンプルと一緒に日本の試験検査機関に送 り、分析を依頼する。
その結果、国内の基 準に合致していれば輸入許可の申告ができ る。
その際に行政に対し「化粧品製造販売届」、 「化粧品輸入届」などを行う。
 輸入後には、製品に使われている全ての 成分を日本語で表示した法定ラベルを貼付し、 製造ロット番号の確認を行うことが義務付け られている。
敏感肌の人が防腐剤の入った化 粧品を誤って使用するような事故を防ぐため だ。
 この一連の業務のうち、SGLのライセン スで輸入者から受託できるのは輸入後の法定 ラベルの貼付などの業務に限られる。
輸入者 にとって比較的ハードルの高い事前の成分分 析や行政手続きについては直接支援を行うこ とができない。
一貫サービスの提供をアピー ルしたくても限界があった。
実際、SGLが 受託した業務の大半は国内での輸入通関から 図1 本社・営業所・提携先製造所 ブルーム東京営業所 ※製造業有 ブルーム本社 ※製造業有 小牧SRC(SGL) 福岡営業所(SGL) 大阪SRC(SGL) (製造業取得予定) 大井SRC(SGL) 出荷業務まで。
ともすれば価格競争に巻き込 まれかねない領域だった。
 現状を打破するため同社は今年三月、化粧 品の輸入代行や成分分析を手掛けるブルーム と業務提携契約を結んだ。
営業開発部営業 企画課の林健司課長は「大きなビジネスに発 展させるために一貫体制を確立する必要があ った。
それにはノウハウを持つパートナーと の業務提携による方法がベストだと判断した」 と説明する。
 提携相手のブルームは化粧品の輸入販売に 関して薬事法の定める様々な業務を一括して 代行する専門会社だ。
もともと化粧品の輸入 販売を手掛けており、〇五年の薬事法改正に 合わせて製造販売業と包装・表示・保管製造 業の許可を取得した。
これに先立って成分分 析業務にも進出、多くの海外ブランドの分析 を通じて豊富なデータを蓄積し、〇四年一月 に厚生労働省から検査試験機関の指定を受け ている。
 法改正後にブルームは、化粧品製造販売業 許可を基に顧客の輸入業務を代行し、成分分 析を行い、さらには輸入後の品質管理や出荷 荷指示が出る。
 ただし、成分が化粧品基準に適していても、 表示にミスがあると市場に出てから回収が必 要になる。
このため正しく表示が行われてい るかをSGLの倉庫でチェックして出荷の可 否を判断する。
 可否の判断はブルームの指示書を基に行う。
SGLとブルームとが互いに商品のサンプルを 持ち合い、一点一点について事前に法定表示 内容のほか表示位置や外観などについてのチ ェック項目を設け、出荷判定の基準を取り決 めておく。
これを基にブルームが指示書を作 成、SGLの拠点では指示書に従って作業を 進める。
 外観をチェックし、表示義務項目である製 造ロット番号を確認し、全成分を日本語で 表示した法定ラベルを容器や外箱に貼付する。
製造ロット番号や日本語表示のないもの、容 器の色など外観に異常があるものなどを指示 書の基準に従って区分し、出荷可否を判定す る。
 ブルームの従来の指示書は、物流事業者に はなじみの薄い専門用語が多用されていた。
現場で指示内容を取り違えたり、内容確認の ために作業が滞る恐れもあるため、業務の開 始に当たり双方で用語の定義を行い、指示書 の中身を物流事業者向けの用語・表現に改め た。
 また従来は、SGLが製造販売業者から包 装・表示・保管業務を受託する際に作業に関 業務まで一貫して請け負うスキームを構築し た。
佐賀県唐津市にあるブルームの本社敷地 内には、成分分析室とともに保税蔵置場を備 えた自社倉庫を設置してあり、物流業務を含 めた一貫態勢を取っている。
 ただし、唐津の拠点一カ所だけで東京や大 阪などの大消費地までをカバーするのは、リ ードタイムの面で課題があった。
そのため全 国ネットワークを持つSGLとの提携にはメ リットがあった。
指示書を物流用語に翻訳  提携後の両社は協働で営業活動を行い、双 方の業務範囲を決めて顧客に一貫サービスを 提供している。
ブルームが製造販売業者とし て顧客の輸入を代行、成分表のチェックや成 分分析、行政への届け出を行い、市販後の品 質管理に責任を負う。
SGLはブルームの委 託を受ける形で海外からの輸送、通関、倉庫 でのラベル貼り、出荷・配送業務を担当する。
 事前の成分分析を終え輸入が許可された化 粧品を、SGLが消費地に近い主要港へ輸送 し、製造業許可を持つ拠点で輸入通関手続 きを行う。
二回目以降の輸入の場合は、輸入 後にサンプル(検体)による成分分析が必要 なことから、この後で検体を唐津のブルーム の拠点へ送り分析を行う。
SGLの製造拠点 (倉庫)ではこれに並行して受け入れ検査や ラベル貼付作業を進めておく。
成分分析の結 果、問題がなければブルームからSGLに出 NOVEMBER 2013  48 営業開発部営業企画課の 林健司課長 する細かな取り決めを行っていなかったため、 出荷判定の可否の判断が付かず、確認のため にその都度、現品を相手に送り、電話などで やり取りすることがしばしばあった。
現在は こうした手間を省け業務がスムーズに流れる ようになった。
外部委託志向の強い外資に期待  通常、日本国内に販売ルートがないと化粧 品製造販売業の許可を取るのは難しい。
この ため海外ブランド化粧品を売る場合、ひとま ず商社経由などの方法で日本での販売を開始 し、ブランドが浸透してから自前の販売ルー トによって市場へ直接参入するという手順を 踏むケースが多い。
 ただし、販売ルートができても安易に商品 を流通させることはできない。
薬事法違反に 気付かないまま市場に出して、後から回収を 行う羽目になるケースが決して珍しくない。
表 示内容と異なる成分を含んでいたり、配合分 量が基準値を超えていたり、禁止成分が使用 されていたり、様々な理由で製品の自主回収 を余儀なくされた事例が毎年、厚生労働省に よっていくつも報告されている。
 「外資系企業などは、そういったリスクを避 けるために自前で全てやろうとはせず、業務 を外部へ委託する志向が強い。
一貫サービス による顧客開拓の余地は十分あると思う」と 林課長は期待する。
 製造業許可を持つ拠点では輸入品だけでな く、国産の化粧品も扱っている。
既存の顧客 の工場が手狭になり、生産能力を補うため同 社の製造拠点で最終工程を受託するケースだ。
これも3PL事業の一つのモデルとして力を 入れている。
 同社は今年、通販の分野でも、四年前に出 したパッケージ商品をリニューアルして新サー ビスを打ち出した。
オンラインショッピングモ ールに出店して通販ビジネスを立ち上げようと する小規模事業者を支援するサービスだ。
棚 の間口単位で保管スペースを提供し、受注・ 商品管理・入出荷・配送・決済までを代行 する。
 これまで提供してきたサービスの対象を広 げ、通販市場への参入意欲を持つ個人事業者 向けにソリューションを追加したもの。
今後、 顧客のニーズに応じて商品の撮影やサイトへ の掲載などの支援も検討していく。
 営業開発部の瀬山嘉治部長は「当社の強み を活かせる分野にターゲットを絞り、顧客に とって必要なサービスを深堀りすることで付 加価値を追求していきたい」と話している。
(フリージャーナリスト・内田三知代) 49  NOVEMBER 2013 SGL営業開発部の 瀬山嘉治部長 図2 輸入化粧品の物流においても製造業許認可(包装・保管・表示区分)取得のSRCで一括管理が可能 全体フロー サービス内容 地域 一貫物流体制 リードタイムの短縮輸送コスト削減コンプライアンスの順守 事前調査 行政への届け出 フォワーディング 品質管理 入庫・製造作業 保管 出庫作業 配送 ●成分表チェック ●成分分析 ●必要書類チェック ●化粧品製造販売届 ●化粧品輸入届 ●化粧品外国製造届 ●ロット分析 ●試験検査 ●法定ラベル作成 ●入庫受入 ●受入検査 ●ラベル貼付 ●添付文書封入 ●キッティング ●ピッキング ●出荷検品 ●伝票入力 ●梱包作業 ●先入れ先出し ●全国配送 ●配送環境整備 ●空調完備 ●防塵塗装 ●24 時間警備 ●ID 管理ゲート ●海上航空輸出入 ●通関 国内 ブルーム社 海外(SGHG ブルーム社 日本国内SGL+佐川急便 現地法人/等) 国内物流センター 事前調査 行政への届け出 海外工場出荷 通関 (加工業務など) 配送サービス フォワーディング (陸上/航空)

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