ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
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2013年10号
物流指標を読む
第58回 国内貨物輸送量が2年ぶりに増加へ 「2013年度の経済と貨物輸送の見通し(改定)」日通総合研究所「企業物流短期動向調査」日通総合研究所

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

  物流指標を読む 第1 回 OCTOBER 2013  96 国内貨物輸送量が2年ぶりに増加へ 第58 ●2013年度の国内貨物輸送量は1.2%増の見通し ●外貿コンテナの輸出は3.0%増、輸入は2.8%増 ●国際航空貨物は輸出入ともにマイナスで推移 さとう のぶひろ 1964 年 生まれ。
早稲田大学大学院修 了。
89年に日通総合研究所 入社。
現在、経済研究部担当 部長。
「経済と貨物輸送量の見 通し」、「日通総研短観」など を担当。
貨物輸送の将来展望 に関する著書、講演多数。
増税ありきの財務省  安倍首相は一〇月一日に公表が予定されている 「日銀短観」(九月調査)の結果を見て、来年四月 から消費税率を八%に引き上げるか否かの最終決 定をすると言われているが、今までのところ、消 費増税に向けての追い風が吹きまくっている。
 まず八月下旬に、各界の代表者や経済の専門家、 合計六〇人から意見を聞く「集中点検会合」が 開催された。
その結果、七割強に当たる四四人が 来年四月からの消費増税に賛成したそうだ。
一方、 反対や慎重な意見を唱えたのは一四人であった。
 また、九月九日に内閣府が公表した四〜六月期 のGDP速報(二次速報)によると、経済成長 率(前期比)は実質で〇・九%(年率換算で三・ 八%)、名目で〇・九%(同三・七%)となった。
消費税率引き上げの条件として、「名目で三%、実 質で二%の経済成長を目指す」ことを努力目標と した景気条項が設けられており、瞬間風速とはい え、ともに達成できた格好だ。
もっとも、デフレ から脱却できたわけではない点が気にはなるが。
 さらに九月八日には、二〇年夏季オリンピック の東京開催が決定した。
東京オリンピック招致委 員会による試算では、三兆円の経済効果が期待さ れるそうだ。
 ちなみに、日通総合研究所が実施した「企業物流 短期動向調査」(九月調査:速報値)によると、七 〜九月実績(見込み)の国内向け出荷量『荷動き 指数』はプラス七と、前期(四〜六月)実績より一 六ポイント上昇した。
また、一〇〜十二月見通しで は、さらに一ポイント上昇してプラス八と見込まれ ており、荷動きの回復基調が鮮明になっている。
 また、業種別『荷動き指数』を見ると、七〜九 月実績(見込み)では、一五業種中、木材・家具 など八業種がプラスを示し、二業種がゼロ水準で、 精密機械など五業種がマイナスとなった。
さらに、 一〇〜十二月見通しでは、食料品・飲料およびパ ルプ・紙がプラスに浮上するなど、過半数の業種 において『荷動き指数』が上昇し、荷動き回復の 動きが広範囲の業種に拡大している。
 おそらく「日銀短観」でも業況判断DIは改善 する可能性が高いことから、来年度からの消費増 税は九分九厘決定と見てよいだろう。
 しかし、実は既に消費増税は決定しているとい う説もある。
「週刊東洋経済」(九月一四日号)で、 「インサイド ライン」編集長の歳川隆雄氏が次のよ うな衝撃的な記事を寄稿している。
 「『今日は読売がいないので正直に言いますが、消 費増税の先送りは一〇〇%ありません。
いいです か、これは本当に完オフですよ』──。
 安倍晋三首相は七月二一日の参議院選挙直後の 某日夜、少数のメディア関係者との夕食の際に『完 全オフレコ』を繰り返したうえで、そう語ったと いうのだ」  詳細は同誌を読んでいただくとして、歳川氏に よると、安倍首相が消費増税を決断するのは、A PEC首脳会議出席のためインドネシアに出発する 直前の一〇月二日になるらしい。
ちょうど本誌が読 者諸兄のお手元に届くころだ。
さて結果はいかに。
 ところで、アベノミクスの効果等により、少な くとも短期的には景気回復を示す指標が次々に出 てくることは分かりきっていたはずであり、それ 「2013年度の経済と貨物輸送の見通し(改定)」日通総合研究所 「企業物流短期動向調査」日通総合研究所 97  OCTOBER 2013 務省の入れ知恵であることは間違いない。
 消費増税に伴い、来年度の景気減速は不可避だ が、景気の腰折れを防ぐため、政府は来年早々、公 共事業の積み増しを主体とした経済対策を打つ公算 が高い。
その財源には、景気の回復に伴い当初見 込みよりも増加した法人税収などが充てられるもよ うだ。
増税に伴う景気の腰折れを回避するために、 景気回復の産物である税金の増収分を使用して景 気対策を行うというちぐはぐさ。
「始めに増税あり き」という財務省の意図が透けて見えるではないか。
国際航空貨物輸送は苦戦  さて、九月十二日に日通総合研究所が発表した 「一三年度の経済と貨物輸送の見通し(改定)」に よると、二〇一三年度の日本経済の実質経済成長 率は二・九%となる見通しだ。
また、貨物輸送の 見通しについては以下のとおりである。
【国内貨物輸送】 ●二〇一三年度の国内貨物輸送は、上期について は、景気が徐々に回復に向かうとともに、公共 土木工事や民間住宅建設にも大きな伸びが見込 めることから、消費関連貨物および建設関連貨 物には増加が期待できる。
一方、生産関連貨物 については、設備投資が盛り上がりを欠く中で、 機械機器を中心にマイナス基調で推移するものと みられる。
下期に入り、二〇一四年度における 消費増税を見越した駆け込み需要の発生を受け て、一部の貨物に増加が期待できることや、設 備投資の持ち直し、鉱工業生産の回復などに伴 い、生産関連貨物も増加に転じるとともに、消 費関連貨物もプラスを維持しよう。
ただし、建 設関連貨物については、公共土木工事や民間住 宅建設の減速が予想されるため、横ばいがせい ぜいであろう。
こうしたことから、総輸送量は 一・二%増と二年ぶりの増加に転じよう。
【国際貨物輸送】 ●二〇一三年度の外貿コンテナ貨物(主要九港)の 輸出は、七〜九月期以降は、世界経済が緩やか ながら回復軌道をたどることから、堅調な荷動 きとなりそうだ。
既に増加に転じている化成品 に加え、一般機械、自動車部品も徐々に持ち直 してこよう。
こうしたことから、年度全体では 三・〇%の増加となろう。
輸入は、食料品、衣 料品などのドライ貨物については、個人消費が底 堅いことを受けてプラス基調で推移するものとみ られ、機械機器類も設備投資の盛り返しを反映 し、年度後半から増勢を取り戻すことから、年 度全体では二・八%増になるものと予測される。
●国際航空の輸出は、七〜九月期以降は、減少幅 縮小からプラス成長へと展開しそうであるが、電 子部品については生産機能の海外移転の進行、輸 出製品の国際競争力の低下などの影響を受け、伸 びは低く抑えられるであろう。
その他の機械機器 類についても、増勢を取り戻すのは年度後半に ずれ込む見通しであることから、年度全体では 二・一%の減少になるものと見込まれる。
輸入 は、消費財のうち衣料品については堅実さを示し そうであるが、円安の影響もあり、生鮮貨物を 含む食料品は弱含みそうである。
電子部品等の 機械機器類は、持ち直しの兆しを見せているもの の、増勢を維持できるほどの勢いはないことから、 年度全体では一・八%の減少となろう。
ならばなぜ、わざわざ有識者ヒアリングなどを実 施したのか。
アンチ安倍政権のマスコミは、「ガス 抜き」や「茶番」と批判しているが、果たしてそ んな単純な話なのだろうか。
 おそらく安倍首相は、一九九七年度に消費税増 を実施した橋本龍太郎首相が、景気の悪化などを 理由に退陣したことを覚えているはずだ。
今回も その二の舞にならないという保証はない。
そこで、 万一失敗した場合、「我が国を代表する有識者の助 言に従って消費増税を決行した」と増税に賛成し た有識者に責任を転嫁するために、このような小 芝居を打ったのではないか。
もちろん、狡猾な財 国内貨物輸送量の見通し 年度・期 機関 2012 年度2013 年度 2011 年度2012 年度2013 年度 総輸送量 建設関連貨物 を除く輸送量 2,294.4 2,521.4 2,323.7 2,549.4 4,898.7 4,815.8 4,873.1 (△2.4) (△1.1) (1.3) (1.1) (0.1) (△1.7) (1.2) 1,434.4 1,490.7 1,430.0 1,518.7 2,980.0 2,925.1 2,948.7 (△2.9) (△0.8) (△0.3) (1.9) (△4.0) (△1.8) (0.8) 19.7 22.6 19.7 22.6 39.9 42.4 42.3 (12.5) (1.2) (△0.2) (0.0) (△8.6) (6.2) (△0.1) 13.9 15.9 14.1 16.2 29.6 29.8 30.3 (4.1) (△2.4) (1.3) (2.0) (△3.7) (0.5) (1.7) 5.8 6.7 5.6 6.4 10.2 12.6 12.0 (39.6) (10.9) (△3.8) (△4.7) (△20.4) (22.7) (△4.3) 2,094.9 2,311.6 2,118.4 2,332.6 4,497.0 4,406.5 4,451.0 (△2.9) (△1.2) (1.1) (0.9) (0.4) (△2.0) (1.0) 1,442.7 1,602.9 1,467.9 1,640.2 3,153.1 3,045.5 3,108.1 (△5.5) (△1.4) (1.7) (2.3) (2.7) (△3.4) (2.1) 652.2 708.8 650.5 692.4 1,343.9 1,361.0 1,342.9 (3.3) (△0.5) (△0.3) (△2.3) (△4.7) (1.3) (△1.3) 179.3 186.7 185.1 193.7 361.0 366.0 378.9 (2.8) (0.1) (3.2) (3.8) (△1.6) (1.4) (3.5) 0.444 0.461 0.452 0.478 0.896 0.906 0.929 (1.6) (0.6) (1.6) (3.6) (△4.8) (1.1) (2.6) 上期下期上期下期 鉄道 自動車 内航海運 国内航空 営業用 自家用 J  
その他 単位:百万トン、( )内は対前年同期比増減率(%)

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