ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2013年10号
特集
第5部 注目プレーヤーの開発戦略 「当社だけが全てのニーズに応えられる」 グローバル・ロジスティック・プロパティーズ 帖佐義之 社長

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

OCTOBER 2013  38 アベノミクスで引き合いが急増 ──物流不動産市場への新規参入が相次いでいます。
 「歓迎すべきことです。
プレーヤーが増えることで、 物流不動産がオフィスビルや住宅、商業施設等と並 び、不動産市場の一セクターとして認知されるよう になってきた。
以前は物流施設に対する理解が十分 浸透しておらず、投資対象として将来性を不安視さ れることも多かったのですが、それが急速に改善し つつある。
特に三井不動産さんや三菱地所さんのよ うな歴史と実績、信用力のある企業が本格参入され たことは、物流不動産市場にとって強い追い風とな っています」 ──市場にとっては良いことでしょうが、御社にと っては強力なライバルが出現したことにもなります。
 「確かにその側面はあります。
個別の案件ベースで 見れば、時に彼らは手強い競合相手になるでしょう。
ただし、やはり市場が本当の意味で成長するために は、ある程度の競争環境が整っていることが望まし い。
限られたプレーヤーが君臨し続ける市場は、どこ かで必ず頭打ちになったり、歪んだ成長を遂げるこ とになります。
それではいつまで経っても、不動産 市場の確固たるセクターにはなり得ません」  「多くのプレーヤーが互いに磨き合って、多くの優 れた物流施設をマーケットに供給する。
その供給がさ らなる需要を喚起する。
その結果、市場は健全な成 長を続ける。
この好循環の中で、当社は独自の強み を発揮して勝ち残り、今のマーケットリーダーの座を 守っていくつもりです」 ──『供給がさらなる需要を喚起する』とのことで すが、供給過剰に陥り、空室率が上がる事態も想定 できます。
 「今年から来年にかけて大量の物流施設が市場に供 給されるので、空室率は一時的に上昇するでしょう。
しかし、その上昇幅は不動産業界の水準から見れば ごく小さいものだし、しかも短期間で吸収されると 見ています。
需給はすぐに逼迫した状況に戻る」 ──その根拠は?  「アベノミクスによる足下の好景気が一つです。
景 気回復への期待感がさまざまなものに波及していく 中で、物流施設に対するニーズにも結び付きつつあ る。
当社では物流施設への問い合わせ件数や問い合わ せ面積の推移を、週単位で管理・把握しているので すが、安倍政権が誕生する前と後では、五〇%程度 その数が伸びている。
単なる偶然かもしれませんが、 私は近代的な物流施設へのニーズに拍車が掛かってい ることを示す、象徴的なデータととらえています」  「もちろん3PLやEコマースの台頭を背景に、物 流の合理化や施設統合がこれまで通り順調に進んで いることも重要なファクターです。
3PLに関して言 えば、これはロジビズさんのデータですが、過去七年 間で七〇%以上も市場が成長している。
リーマンショ ックなどを含め、国内経済が低迷し続けた中で、こ れだけの成長を遂げたことは驚異的です」 ──不況だからこそ3PL市場はそれだけ伸びたと も言えます。
 「そうですね。
経営環境が悪化したことで、企業は よりシビアに、効率的にビジネスを展開する必要に迫 られました。
それまで自前で倉庫を持ち、物流を自 ら行っていた荷主企業は3PLへのアウトソーシング を一気に進めてきた。
今後もこの流れは変わりませ ん。
先ほど景気回復の話に触れましたが、少し持ち 直したからといって昔のような緩い物流体制に戻す ことは考えられない。
3PLがいかに物流効率やコ 「当社だけが全てのニーズに応えられる」  年間650 億円規模の新規開発を継続し、国内マーケッ トシェア首位の座を強固にする。
中小型施設のリノベー ション事業などにも注力し、あらゆる顧客ニーズに応え る体制を整える。
圧倒的な規模とサービス・アレンジ力 を背景に、競合が増え続ける市場を勝ち抜いていく方 針だ。
              (聞き手・石鍋圭) グローバル・ロジスティック・プロパティーズ 帖佐義之 社長 第5 部注目プレーヤーの開発戦略 39  OCTOBER 2013 スト削減に貢献できるかはもはや明白です。
3PL 市場の成長は、そのまま物流不動産市場の成長にも つながってくるはずです」 ──
韮味个開発する物流施設はどれも大規模で、内 部に施された機能も最先端を行っています。
それだ けにコストも掛かっている。
ペイするだけの賃料を収 受できているのですか?  「例えば『最先端の免震機能付きだから、いくら上 乗せ』という賃料設定はしていません。
賃料は市場 の需給のバランスや顧客との関係性、立地など、多 様な要因から構成されています。
当社が物流施設の ハードとソフトにこだわるのは必ずしも高い賃料を得 るためではなく、そこに強いニーズがあるからです」 ──テナント企業には『もう少し機能を落としても良 いから、賃料を安くしてほしい』という声もあります。
 「顧客のニーズは多様化しています。
コストを最優 先する顧客もいますし、それよりも立地や使い勝手 を重要視する顧客もいる。
当社にはその全てのニー ズに応えるだけのメニューがあります」 あらゆるタイプの施設を所有 ──具体的には?  「GLPの施設というと、ランプウェイの付いた大 型マルチテナントのイメージが強いのかもしれません が、当社には開発中の物件も合わせると約九〇棟も の物流施設があります。
これは国内では圧倒的な規 模ですが、そのうち開発物件は半分ほどで、残りの 半分はアクイジション(既存物件の取得)によるも の。
アクイジション施設の中には、中小型の倉庫も多 く含んでいます」  「顧客は豊富な選択肢の中から、最適な施設を選ぶ ことができる。
さらにそこにリノベーションを施すな ど、顧客のビジネスに合わせてメニューを作り込むこ とも可能です。
あらゆるタイプの物流施設を有し、そ れを顧客に最適な形にカスタマイズして提供できるプ レーヤーは当社だけです。
このフルラインアップのサ ービスメニューを武器に、当社は顧客と物流不動産市 場の発展に貢献していく」 ──用地価格が高騰の兆候を見せています。
GLP は年間六五〇億程度の新規開発を掲げていますが、 入札などへの影響は。
 「入札に対しては柔軟性を持って臨みます。
ファン ドのように利回りだけで判断することはありません。
例えば、物流施設の提供者としてその土地が絶対に 必要だと判断すれば、戦略的に強気な値段を付ける こともあるでしょう」  「ただし、基本的には入札は避け、相対取引による 取得を目指します。
実際、これまで取得した土地の 多くは相対によるものです。
相対取引には時間もコ ストも掛かるし、成功させるためには、関係者の利 害調整を図るなど独特のノウハウも必要になる。
開発 力だけでなく、そうした土地のアレンジ力にも強みが あると自負しています」 ──昨年十二月に『GLP投資法人』が上場しまし た。
グループにJリートができたことの意味は?  「当社が開発した物流施設をGLP投資法人に優先 的に売却します。
GLP投資法人は優良な施設を安 定的に取得することができる。
当社は必要に応じて キャッシュを得ることができ、それを次の開発資金に 充てる。
当社はもともと強固な財務基盤を有してい ますが、グループにJリートができたことで、資金循 環がより円滑なものになった。
質の高い物流施設を 安定的に市場に供給できる体制が、今まで以上に整 ったことになります」 今年5 月に竣工した「GLP 三郷掘廖
BCP や環境に配慮し た機能が施されているほか、働く人の快適性も追求している。

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